研究課題
本研究にて今年度得た知見、および本研究の経過は以下の通りである。(1)抗thy-1抗体により惹起された腎炎モデルにおいてClチャンネルブロッカー(IAA-97)を投与したところ腎炎の組織学的改善が見られた。この事から腎炎の進展がClチャンネルブロッカーにより制御されうる可能性が想定される。(2)Clチャンネルブロッカー(IAA-97)により培養メサンギウム細胞の細胞外基質産生がmRNAレベルで抑制されることを明らかにした。これは先のClチャンネルブロッカーによる腎炎進展の制御とも関連する観察と考えられる。(3)糸球体上皮細胞に対する特異的な抗体を使用することにより新しい型の糸球体内皮細胞障害の腎炎モデルを作成した。そのモデルの解析から、同モデルが補体依存性に血栓形成、腎不全などを引き起こすことを明らかとし、腎炎の病態における補体の重要生を示した。(4)補体の機能を制御する補体結合蛋白に関するスクリーニングを行い、補体結合蛋白に共通するSCRモチーフを持つ新しい補体制御蛋白を発見し、そのクローニングを行った.今後得られた補体蛋白の機能的役割を検討する予定である。(5)細胞障害を厳密な定量性をもって測定するため新たにelectrical cell substrate inpedance sensing system(ECIS)を導入した。現在の処まだ具体的なデータは出ていないが今後これを用いて細胞の障害とその制御に関する検討を行う予定である。
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