研究概要 |
胎児心拍変動のvariabilityを定量化し、胎児の自律神経発達とその病態による変化を明らかとする目的で胎児心拍変動のスペクトル解析を行った。これによりこのスペクトル解析が胎児状態の評価法としての有用であるか検討した.正常胎児の自律神経発達の解析には単胎妊婦529例を対象とした。胎児の状態とパワースペクトル解析との関連を検討するためには胎児採血を施行した妊娠20〜38週のIUGR26症例を対象とした.胎児心拍変動時系列を得、安定している連続した200beatsについてパワースペクトル解析を行った.LF成分を含む0.025〜0.125cycle/beatsの範囲をlow frequency area(LF area)とし,その面積を求めた.LF-ar eaは妊娠週数が進むにつれて増加し、回帰式は3次曲線が最もよく相関し,Y=6.484-0.764X+0.029X^2-3.419E-4X^3相関係数は0.625(p<0.05)であり、26-31週でのLF-ar eaの増加が著明であった.IUGR例においては週数毎の平均値との差△LF-ar eaと△PO2,△pHは,各々相関係数0.650,0.618と高い相関を示した.胎児心拍変動のスペクトル解析によるLF領域の積分値による胎児の自律神経機能の発達は妊娠20週頃より上昇し始め、妊娠26〜31週には急速に上昇し、37週頃にプラトーになる。LF成分は胎児血酸素分圧と相関し,LF成分の定量は胎児の状態を反映する指標となりうる。
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