研究課題/領域番号 |
09557097
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
石川 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30089784)
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研究分担者 |
橋本 尚詞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80189498)
新井 潤一郎 ダイキン工業(株), MEC研究所, 主任研究員
楠 慎一郎 (株)エル, エス・エル・代表取締役, 研究職
古里 征国 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (20056948)
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キーワード | 溶存酸素電極 / 癌細胞 / 抗癌剤選択システム / マイトマイシンC / HL-60細胞 / HTMM細胞 / TPA |
研究概要 |
溶存酸素電極を利用し癌薬剤感受性試験を迅速に測定するシステムを開発することを目的に実験を行い以下の結果を得た。 材料と方法 細胞株:HL-60(ヒト前骨髄芽球性細胞、通産省工技院融合研により分与)、人癌細胞株(理研Ishi'sライブラリーより分与) 多チャンネル溶存酸素電極システム:使い捨て酸素電極、10チャンネル測定ユニット(以上、ダイキン工業株式会社で試作)、パソコンからなる。細胞浮遊液を静置した状態で各チャンネル溶存酸素濃度の変化をリアルタイムに測定した。 モデル実験としてHL-60細胞のTPA(12-o-tetradecanoyl phrbol 13-acetate)による分化の系を準備した。1X10^6/ml濃度に調整したHL-60細胞にTPAを0.1〜10nM添加した。HL-60細胞の呼吸量の変化を溶存酸素濃度の変化としえ捉え、多チャンネル溶存酸素電極システムで経時的に測定した。この結果をもとに各種培養細胞株と抗癌剤の組み合わせ実験を行った。 結果と考察 TPA添加によるHL-60細胞の分化は酸素消費量の減少として、0〜72時間の経時的測定の間各々約20分間で容量依存的に捉えることができた。また測定は細胞に対して非侵襲で行われるので、同一サンプルの変化を経時的に追うことが可能であった。次にヒト悪性黒色腫(HTMM株)に対するマイトマイシンCの効果を検討した。マイトマイシンCの濃度増加に伴って培養細胞の酸素消費量は減少した。各種培養癌細胞株の薬剤感受性も同様に短時間に判定が可能であった。 このシステムは薬剤による細胞の代謝変化を、呼吸量の変化として測定する。今回の検討で、細菌のみならず細胞においても薬剤感受性の迅速測定が可能な事が確認された。自動化装置に適用可能な点、細胞毒性の進行状況・回復状況を経時的に測定可能な点など、従来の検出方法に比較して有用な測定方法と思われた。 今後各種癌細胞に対する適性抗癌剤の種類と濃度の選択を短時間で可能にするシステムの開発をさらに続行する。
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