研究概要 |
最初にimexlab9000で正常と診断された被検者10名を対象とし,近赤外線分光法(NIRS)を用いて皮膚血流量の測定が可能であることを実証した.NIRS装置の組織SO2・Hbモニタ(PSA-III)の浅部用センサーを右第一指掌側先端,ラバーストレンゲージプレチスモグラフィー(RSGPG)のセンサーを第一指根部に装着した.ラピッドカフインフレーター(BRI-200)を前腕に装着しvenous occlusion法で各々Hb,周径の増加曲線を描き,立ち上がりの傾きから,血流量を測定した.安静時の測定後,反対側の手を4℃の冷水に浸し血流量の減少の局面,回復の局面を記録した.各々の被検者ではNIRSとRSGPGの相関係数は0.80から0.97と良好な相関関係を示した.全被検者の計214回の測定では相関係数は0.95でNIRSを用いて手指すなわち皮膚血流量の測定が可能であることが示された. 次に,imexlab9000で正常と診断された被検者5名でNIRSの浅部用と深部用センサー(PSA-IIIN)を前腕に,RSGPGのセンサーを前腕根部に,ラピッドカフインフレーターを上腕に装着した.安静時の測定の後,10kgのダンベルを10回挙上する運動後の血流の増加,回復過程の測定を行った.筋のHbを測定していると考えられる深部用のセンサーではRSGPGとの相関は各被検者で相関係数0.75から0.95と良好な相関関係が示された.皮膚血流量を測定していると考えられる浅部用のセンサーでは相関係数は0.27から0.79で弱い相関が認められた.運動時の血流量の増加分は主に筋組織と考えられるのでNIRSにより筋の血流量が測定できることが示された. 今後,局所加温による主に皮膚血流量の増加の場合を分析し,本法により皮膚と筋の血流量を分離して測定できることを証明する.また,下肢にも適応できることを実証していく.
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