研究課題/領域番号 |
09557102
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 正徳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70206530)
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研究分担者 |
津本 浩平 東北大学, 工学部, 助手 (90271866)
熊谷 泉 東北大学, 工学部, 教授 (10161689)
遠藤 公人 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70292315)
海野 倫明 東北大学, 医学部, 助手 (70282043)
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キーワード | 胆管癌 / 養子免疫療法 / LAK細胞 / MVC1 / 一本鎖抗体 / Bispecific抗体 / CD_3 / CD_<28> |
研究概要 |
LAK細胞は非特異的な抗腫瘍効果を示すために、われわれは養子免疫療法のエフェクター細胞として注目してきた。LAK細胞の弱点であるtargeting性の低さを補うためにLAK細胞と腫瘍細胞の両者を認識するBispecific抗体を化学的に合成して抗腫瘍効果の改善を図った(1996 : Cancer Research,56:4205-4212)。化学的合成法の問題点は操作が煩雑なわりには収量が少なく、また材料となる抗体はhybridomaをマウス腹水で培養するために高価であることが問題となった。以上より、微生物を用いた抗体の作製が検討された。とくに、大腸菌を用いた一本鎖scFv抗体は廉価で、操作および取り扱いが容易であり、免疫原性はかなり低く押さえられ、腫瘍組織への移行も優れている。さらに遺伝子工学的手法により、特異性・安定性の改善を図ることも可能となる。そこで、今回は抗体を大腸菌を用いたscFvの形で作製し、遺伝子工学的にBispecific抗体を組立て、本抗体を用いた免疫療法の実験的検討を行った。発現ベクターの構築はHybridoma細胞より採取した可変領域の遺伝子をPCR法にて増幅し、発現ベクターにsubcloningした。subcloningのために作製したplasmidはpel B signal sequenceをつけた直接発現系のベクターpSNE4で、抗体によってはGST融合蛋白として発現するpXa-SNE4も使用した。発現はLB培地で培養し、IPTGにて発現誘導をかけ、得られた培養液を培養上清、periplasm画分、ultrasonication後の可溶性画分および不溶性の膜画分にわけ、それぞれ、硫安沈殿や段階透析法によるrefoldingを行ったサンプルを、6x Histidineのtagと特異的に結合するmetal chelate resinを用いたaffinity chromatographyで精製する。発現させるscFvは2つの可変領域がポリペプチドリンカーでつながり、2つのドメイン間の相互作用により抗原認識部位を形成する。 抗MUCl scFv抗体の作製:収量は培地1リットルから役0.123mgである。収量の改善および親和性の向上を図るために、CDRの機能壊変を行った。HCDR2では52のArgおよび53noAsnに注目し、Kunkel法によりAlaに変異導入した変異体を作製した。HCDR3では102のfree CysをSerに変えた変異体HCl02Sを作製した。その他、HCDR3ではAla scanningを行った。 抗CD3scFv抗体の作製:Western blottingで超音波粉砕した不溶性画分に発現するために、段階透析によるrefolding step後、カラムにかけて精製した。Flow cytometryで結合活性が確認された。 抗CD28 scFv抗体の作製:直接発現系でのlarge scaleの発現は認められず、GST融合蛋白として発現を行った。VL-linker-VHでcontrolとほぼ同じ分子量に発現が認められWestern blottingでも陽性を示した。 Bispecificityを有するDiabodyの作製:組換えscFvを別々に発現させ混合させる方法、1つのプラスミドで2種類の組換えscFvを発現させる方法、さらに2つのscFvをspacerで連結する方法の3種類の方法で作成している。
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