今日心臓外科の領域において、心筋保護法および各種の工学的支援により、開心術語の成績は向上しているが、手術患者の高齢化やより重症の患者を手術適応にするようになり、いまだに術後急変の重症心不全に陥る症例は存在する。この術後急性期の心機能を的確に、リアルタイムでモニターするのが、開発中の埋め込み型心エコープローブである。 今回の平成9年〜平成11年までの研究期間で、この開発している埋め込み型心エコープローブが臨床上、心臓手術後の急性期のモニターとして大変に有効であることが判明した。すなわち現在の開心術後のモニターは心電図やスワンーガンツカテーテルによる心拍出量を拠り所にしているが、この新しい埋め込み型心エコープローブによるモニターはリアルタイムによる心臓自体の収縮・拡張の程度をモニターしているので正確であり、医師ばかりでなく看護婦にもその異常が即刻モニターできる。またその使用に際しては不整脈などの悪影響を及ぼさないことが判明した。 その完成までには心表面に如何に固定するかが残された改良すべき点である。また臨床上の大きな問題として同じ埋め込み型心エコープローブを何回も多くの患者に使用するのは、感染防止の観点からも好ましくなく、プロトタイプの使い捨て(ディスポーザル)の埋め込み型心エコープローブを完成させる必要がある。これからも研究を続けるつもりである。
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