研究課題/領域番号 |
09557115
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柿沼 健一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (50283015)
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研究分担者 |
高橋 英明 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70236305)
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / 熱感受性リポソーム / 温熱療法 / invading zone / 化学療法 / drug delivery system |
研究概要 |
1) 二次元有限要素解析法によるコンピュータ・シミュレーションを用いて、脳内のさまざまな部位に存在する悪性脳腫瘍に対して温度分布についての追試を行った。その結果、いかなる部位においても腫瘍中心が42℃以上に加温された場合、問題となるtumor invading zoneはちょうど40℃の加温域に一致していることが示された。 2) ラット脳腫瘍モデルを用いて脳腫瘍を加温しつつ本リポソームを静注したところ、リポソームに封入してあったアドリアマイシンが加温脳腫瘍内に放出され高濃度に集積することが確認された。更に同モデルにおいて腫瘍近傍の42-40℃(tumor invading zoneの仮想加温区域)にもアドリアマイシンが集積することが示された。 3) 以上の結果から、これまで悪性グリオーマの再発の主因として問題視されながらも有効な治療法の無かったinvading zoneへ42-40℃の加温により抗癌剤を集積できる可能性が高まったと考えられる。更に従来通り腫瘍中心にも42℃以上の加温で抗癌剤が集積出来ることが確認された。 4) ただし、静注されたリポソームが肝臓、脾臓に自然に集積してしまう問題点は依然として解決されず、今後の課題として残された。このためリポソームの脳内への動注法を企画し、成犬の脳内においてリポソームが塞栓源と成り得ないかを検討し、その他体内薬理動態などを検討することが必要であると考えられた。
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