研究課題/領域番号 |
09557118
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齊藤 洋一 大阪大学, 医学部, 助手 (20252661)
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研究分担者 |
綿引 正則 ニッポンジーン(株), 研究開発部, 部長
恵口 豊 大阪大学, 医学部, 助教授 (20243206)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
有田 憲生 大阪大学, 医学部, 講師 (80159508)
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キーワード | オピエ-ト / テトラサイクリン / ポリマーカプセル / 異種細胞 |
研究概要 |
ポリマーカプセル移植の欠点として、カプセルに封入した細胞より分泌されるペプチドの量が外的に制御できなかった。ところで、最近開発されたTet-On systemは、哺乳類にとって無害であるテトラサイクリン(tet)誘導体により組み換え体遺伝子の発現量を制御できるシステムである。Tet-On system発現プラスミドpUHD172-1neoとtetオペレーター/lacZ融合遺伝子を持つpUHG16-3を、マウス神経芽細胞腫株(Neuro2A)にエレクトロポーレーション法にてco-transfectionして、遺伝子導入細胞株(Neuro2A-lacZ)を確立した。この細胞株は、in vitro実験に於いてtet濃度1.0から1000ng/mlの濃度間で濃度依存性にlacZ発現が増加した。同様にブタPOMC cDNAをtetオペレーターを持つベクタープラスミドpUHD10-3に組み込み、遺伝子導入細胞株Neuro2A-POMCを確立した。この細胞株はオピエ-トであるベータエンドルフィンとACTHの両者を分泌するはずであるが、ACTHのみ分泌する細胞株しか得られなかった。In vitroにおいて細胞株にtetを様々な濃度で投与して、培養液中へのACTH分泌量を測定すると、tet濃度依存性の分泌が観察された。次にNeuro2A-POMCをカプセルに封入してラット髄液腔に移植し、tetを様々な濃度で腹腔内投与してラットからカプセルを摘出し、カプセルを培養液中に戻し、ACTH分泌量を測定した。すると腹腔内投与したtet用量依存性にACTH分泌が観察された。ラット髄腔内より摘出後、tet freeの状態で培養し続けると、数日でACTH分泌は基礎値に低下した。この結果より、Tet-On systemによる転写量制御機構が、中枢神経系でも有効であることが示唆された。
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