研究課題/領域番号 |
09557119
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近藤 威 神戸大学, 医学部, 助手 (50273769)
|
研究分担者 |
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部, 教授 (10030941)
長嶋 達也 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (80201680)
穀内 隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (30178248)
斉藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
|
キーワード | グルタミン酸トランスポーター / 遺伝子導入 / 神経細胞死 / 脳虚血 / 細胞移植 |
研究概要 |
本研究においては、グルタミン酸トランスポーターの遺伝子を実験的に導入することにより、脳虚血による神経細胞死の防御が可能かどうかを実証することを主たる目的とする。初年度の平成9年度では、まず、in vivo及びex vivo遺伝子導入の効率を検証した。 ex vivo遺伝子導入のための細胞として、正常ヒトアストロサイトに注目した。転移性脳腫瘍摘出時に得られたgliosisを含む白質組織から、不死化されたhuman asctocyte cell lineを得た。マーカー遺伝子として、green fluorescent protein発現ベクターであるpEGFP-C1を電気穿孔法にて導入、G418にて選択し、サブクローンを得た。これを抗原認識能の未発達なラット幼若脳および5分間全脳虚血後の砂ネズミの海馬CAI領域に脳内移植した。幼若脳においては、成熟脳への移植に比べ、移植後の細胞生存が良い傾向にあった。また、移植片内において、新生血管を伴った宿主脳組織がパッチ状に認められ、宿主血管系から隔絶された形で異種移植片へ生着された(キメラ形成の獲得)。虚血脳においても、移植細胞が虚血巣に生着し、一部の細胞は周囲に遊走していたが、細胞突起の伸展は乏しかった。 次に、in vivo遺伝子導入として、in vivo electroporationによるGFP遺伝子導入、cationic-liposome法(1 : 1 charge ratio)によるGFP遺伝子導入を試みた。導入後4日でGFP発現細胞を蛍光顕微鏡にて確認したところ、electroporationでは、主に脳室上衣細胞にGFPが認められ、一部長い突起を伴ったastrocyte様の細胞にも稀に発現していた。電極周囲の脳組織には壊死が認められた。liposomeでは、導入は認められなかった。現段階では、二つのin vivo法では、今回の方法では十分な結果が得られなかった。今後ベクターの改良及び導入条件の検討が必要と思われる。また、細胞移植によるex vivo法は、GFP蛋白が既に発現しているので再現性に優れていると考えられた。
|