研究課題/領域番号 |
09557125
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐久間 一郎 北海道大学, 医学部, 助手 (40260393)
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研究分担者 |
仲井 邦彦 東北大学大学院, 医学系研究科, 助手 (00291336)
北畠 顕 北海道大学, 医学部, 教授 (00124769)
吉岡 充宏 北海道大学, 医学部, 教授 (40182729)
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キーワード | 人工赤血球 / ヘモグロビン修飾体 / 人工酸素供与体 / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / S-ニトロソヘモグロビン / マイクロダイアリシス法 |
研究概要 |
輸血時の肝炎やAlDS感染の防止、輸血拒否者への対策、さらに移植臓器の保護液として、臨床応用可能な人工赤血球や人工酸素供与体の登場が待たれている。しかるに、現在まで開発されたヘモグロビン(Hb)修飾体では、一酸化窒素(NO)の消去による血圧上昇が生じ、血小板の活性化・凝集亢進が惹起される。これらは臨床応用した場合、副作用として問題となり、実用化までに解決すべき必須の事項である。申請者らは、以前、無細胞性Hb修飾体とリポソーム包埋型Hbの血管収縮作用の比較を行い、前者の血圧上昇作用はリポソーム包埋型Hbや赤血球に比べ100倍以上強いことを明らかとした。また、Hb修飾体のNO消去作用は、それらが血管内皮細胞間のgap junctionから血管壁内に浸透する結果であることを初めて実験的に証明し、分子設計上分子サイズの再評価の必要性を明らかとした。平成9年度の科学研究費補助金による研究では、Hb修飾体の分子サイズとNO消去作用の関係をラット単離心で確認した。今回、新たな人工酸素供与体としてHbβ鎖のSH基をニトロン化したS-ニトロンHb(SNO-Hb)の応用を企画し、まずその測定法を液体クロマトグラフィー法により確立した。SNO-Hbの合成法については、米国Duke大学および熊本大学と共同で検討し、Hbβ鎖SH基の約80%にNOを可逆的に導入できることを明らかとした。作成されたSNO-Hbの生物学的意義に関しては、血小板凝集作用や血管収縮作用が著しく弱いことを確認した。また、人工赤血球の生体作用の新たな評価系として、HPLC法を用いた血中NO(NO_2^-/NO_3^-)測定法とマイクロダイアリシス法による脳内NO経時的測定法、血小板に対するレーザー散乱光を用いた凝集能解析、および脳組織内ミトコンドリア酸素濃度測定法の応用が有用であることを確認した。
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