研究分担者 |
近藤 祐司 アロカ(株), 技術部, 主任
松中 敏行 アロカ(株), 技術部, 部長
崔 拓巳 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (30242720)
上田 宣夫 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (20223464)
土肥 修司 岐阜大学, 医学部, 教授 (40155627)
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研究概要 |
麻酔・手術中やICU・CCUの重要な心機能評価法である心拍出量の測定は,肺動脈カテーテルを用い熱希釈法により一般的に行われているが,測定値は冷水注入時の瞬時の値であり,リアルタイムに連続的測定はできなかった.本研究では,超音波による心拍出量測定法を肺動脈カテーテルに応用し,肺動脈内からの血管内超音波断層法と血流速度測定法を用い,超音波による測定精度が高くかつ連続測定できる心拍出量測定法の開発を試みている. 血管内超音波法による心拍出量の測定には,1.血管内超音波断層法による肺動脈断面積の測定,2.血管内ドプラ法による肺動脈血流速度の測定,3.1と2を組み合わせた肺動脈超音波ドプラ断層カテーテルの製作が必要と考えられた.本年度の研究においては,血管内エコー図法を心腔内エコー図法として応用し心腔内断層エコー図法による心腔および肺動脈腔の描出を試み,描出可能な超音波振動子付きカテーテル(現段階では肺動脈カテーテルではなく通常の血管内に留置できるカテーテルとした)を開発中である.犬を使った動物実験の結果,血管内エコー図法としては通常発振周波数30MHzの超音波が用いられるが,30HMzでは診断距離が短すぎ5mm径以下の血管・心腔しか明瞭に描出できなかった.このため発振周波数15-20MHz程度のカテーテル型超音波振動子を開発中である(研究分担者松中,近藤が作製中).しかし発振周波数を低下させると超音波振動子のサイズが大きくなるという問題があり,肺動脈カテーテルの内腔に超音波振動子を通す必要性からカテーテル側の検討を同時に進めている.7.5Fの肺動脈カテーテルを検討した結果,利用可能なルーメンの最大径は1.15mmと推測された.現在このサイズでのカテーテル型超音波振動子の開発と肺動脈カテーテル側の加工を試みている.超音波透過性の面からの肺動脈カテーテルの素材の検討ではポリエチレン>塩化ビニール>ウレタンの順に優れていた.今後の研究での肺動脈超音波ドプラ断層カテーテルの試作のため,上述のような超音波振動子とこれを装着できる肺動脈カテーテルが必要なことが明らかとなった.
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