研究概要 |
1, ロボティックエンドサージャリーシステムの開発:オリンパス光学工業との共同開発により、ハンドスイッチ誘導方式によるロボティックアームを作成した。本機器はカメラヘッド内の視野移動機構およびズーム機構により視野の移動、縮小拡大を行うもので、視野移動は両角85度、ズーム倍率は0.8-2.4倍である。豚を用いた実験の結果、I)カメラ保持のための助手を必要としない、2)術者自身で視野操作できる、3)鉗子との干渉を避け得るなどの利点がある一方、時に腹腔鏡ホルダー自身を術者が動かす必要があるなどの問題点が明らかになった。 2, ロボティックエンドサージャリー用手術器具の開発:1本のプローベで把持、切開、高周波機能、注水、吸引が行える多機能内視鏡鉗子を作成した。止血や術野の洗浄機能は十分であり、既存のディスポ製品と同等の効果が得られた。 3, 動物実験:種々の手術機材を全て懸架式にしたドライオペレイティングルームにて豚を用いた実験を行った結果、機器の機動性、手術室の汚染防止に有用であることが判明した。 4, 臨床応用:動物実験の結果を踏まえて、多機能鉗子を腹腔鏡下副腎摘除に臨床応用した。本機器は十分な注水・吸引機能、高周波機能を発揮し、かつ、再滅菌が可能であるため、コストの面でも従来のディスポ製品に比べ安価であることが判明した。今後、本プローベならびに今回開発したロボティックアームの臨床応用をさらに進め、これらの結果をまとめ、発表する予定である。 5, 内視鏡下手術教育システムの確立:内視鏡下手術教育用のシミュレーションシステムをデジタル画像から作成した。今後、コンピューターグラフィックのプログラミングを行う必要がある。 6, 本研究の成果を国内外の医学学術会議および医学雑誌に発表した。
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