研究課題/領域番号 |
09557133
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
荒木 勤 日本医科大学, 医学部, 教授 (40089751)
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研究分担者 |
鈴木 俊治 日本医科大学, 医学部, 助手 (80291722)
澤 倫太郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (30267174)
米山 芳雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (00201096)
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キーワード | 胎児 / 脳温 / 脳低温療法 |
研究概要 |
[目的]脳虚血、低酸素症状態において脳低温状態が著明な脳保護作用を保持することが注目されている。したがって脳障害発生の原因となる脳虚血、低酸素症状態をヒツジ胎仔において人工的に作成し、この病態における胎仔低体温が胎仔の温度調節および代謝に及ぼす影響に関する検討を行なった。 [方法]胎齢124〜6日の妊娠ヒツジ(n=6)を対象とし組織埋め込み型温度計を胎仔大脳皮質、上行大動脈に装着し生理的慢性実験モデルを作成した。次ぎに胎仔に約2〜3℃の低体温を維持した後、臍帯圧迫(5分間)および開放30分間を4回施行した。実験中胎仔の脳温、核温血液ガス pH、乳酸、グルコース濃度を経時的に測定した。同様のプロトコールで低体温を導入しないものをcontrolとした(n=9)。 [成績]1.胎仔脳温は、胎仔低温状態中を含め、核温より常に高値を示した。2.胎仔低体温下における臍帯圧迫は胎仔常温下における圧迫に比し、胎仔のhypoxemia、acidemiaを憎悪させ、血漿乳酸、グルコース値も高値を示した。3.胎仔低体温(37.22±0.18℃)下では胎仔脳温は臍帯圧迫前37.31±0.25℃より開放後に37.68±0.22℃と有意に上昇した。 [本年度研究実績の総括] 脳虚血および低酸素症時に胎仔体温を急激に2〜3℃低下させるような胎仔低体温状態を導入すると、胎仔脳にエネルギー代謝の不均衡を惹起し胎仔の胎内におけるstatusを悪化させる可能性が示唆された。したがって、pharmacological coolingを含めた、胎仔低脳温導入法の検討が必要と考えられる。
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