研究課題/領域番号 |
09557142
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
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研究分担者 |
川内 彰彦 プロクター, アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク社研究開発本部・分析テク, 課長(研究職)
五十嵐 薫 東北大学, 歯学部, 助手 (70202851)
堀内 博 東北大学, 歯学部, 教授 (00013962)
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キーワード | ビスフォスフォネート / 歯槽骨 / 骨吸収 / 破骨細胞 / クロドロネート / 局所投与 |
研究概要 |
今年度は、実験的に誘起したラット歯周炎による歯槽骨の吸収・破壊が、プロトタイプのビスフォスフォネートの一つであるクロドロネートの局所投与によって、抑制可能であるか否かを中心に検討を加えた。まず、実験的な歯周炎モデルとして、ラットの上顎第一大臼歯にゴム製のリガチャーを装着させ、第一大臼歯と第二大臼歯の歯間歯槽骨部に急激な骨吸収を起こさせる実験系を確立した。ついで、この実験系を用い、隔日に1週間に亘って局所投与(マイクロシリンジにより、歯槽骨骨膜下へ50uLを注射投与)したクロドロネートが、歯槽骨の吸収を抑制できるか否かについて、歯間歯槽骨部の骨塩量を測定(軟X線撮影画像のコンピューター解析によって、ハイドロキシアパタイト量として算出)することによって評価した。その結果、局所投与したクロドロネートは、用量依存性に(0-40mM)歯槽骨の吸収を抑制し、骨塩量の減少を抑制することが明らかとなった。一方、マウス頭蓋冠を用いた器官培養系や、骨芽細胞の培養実験系での、ビスフォスフォネートの骨吸収抑制作用機序の検討から、クロドロネートや、その他のビスフォスフォネートは、歯周炎における骨吸収促進因子の一つと考えられているプロスタグランジンの産生を抑制し、LPSやIL-1による骨吸収の促進を強力に抑制することが示された。さらに、様々なビスフォスフォネートを10日間に亘ってラットに皮下注射した後、脛骨骨幹端部を組織学的に観察した実験から、ビスフォスフォネートが、破骨細胞機能を抑制すること、しかし、破骨細胞の数は減少していないことから破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化は抑制されていないと考えられること、アポトーシスを起こしている破骨細胞が数多く出現していることから、ビスフォスフォネートが破骨細胞のアポトーシスを誘導する作用を持つと考えられること等が明らかとなった。今後、適用局所でのビスフォスフォネートの刺激性の有無、全身毒性などの点でデータが集積されることにより臨床応用への可能性がひろがると考えられる。
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