研究概要 |
本研究は、味覚感受性の異なる親系統の遺伝解析をもとに、遺伝子導入系の育成や各遺伝子の人為的操作行い、味覚受容情報伝達機構解明に役立つ遺伝的変異マウスの作出を行う。 1.コンジェニック系由来の変異マウスの育成と作出 平成9-10年度で得られたコンジェニックN15代マウスを用い、甘味物質に対する応答とそのグルマリンによる抑制性の解析から、ドナー由来のdpa遺伝子を含む遺伝子セグメントをより小さなものとしたとき、グルマリン感受性の鼓索神経線維グループの分離が不明確になる傾向がみとめられた。また、サッカリン高嗜好性を示すdpa^+/Sac^+グループと低嗜好性のdpa^+/Sac^-との間で糖応答の大きさに差がなくなる点を併せ考えると。味細胞におけるグルマリン感受性甘味受容体の発現とその支配神経線維との特異性が低下した可能性がある。これについて今後さらに追及する必要がある。 2.糖尿病ミュータントマウス由来の変異マウスの育成と作出 行動応答の解析と糖尿病の発現性からdb^-/dpa^+,db^+/dpa^+,db^-/dpa^-,db^+/dpa^-の個体を選別し,それらの甘味応答のレプチンによる抑制性を比較した。その結果,db^-個体はいずれもレプチンによる変化はみとめられなかったが,db^+個体ではdpa^-をもつ個体でより大きな抑制が認められた。したがって、グルマリン非感受性の甘味受容体を発現する味細胞にレプチンレセプターが共発現している可能性が示唆された。
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