研究概要 |
咀嚼機能の評価にあたって臨床上,最も有用と考えられる解析方法とデータ表示方法を確立することを目的として,生理機能情報をMRIを用いて測定するために,今年度は,大脳皮質一次感覚野と一次運動野での習慣性咀嚼側における咬みしめ強度を変化させた時のFunctional MRIのデータ解析を行った.Functional MRIは脳の機能情報をEPIのシーケンスを用いて,tappingと咬み締め強度30%とtapping周波数を変化させたタスクによって、大脳皮質の感覚運動野の賦活の検討を行った結果、これまでわかっていた一連の咀嚼運動で賦活領域が増加するのではなく,咬みしめ強度を上げることによって,賦活領域が増加し,さらに賦活領域における信号強度も増加することが明らかになった.また,tappingでは一次感覚野が優位に賦活している様相を示した.また咀嚼というモーションアーチファクトの影響でS/N比が低下することが予想されたため,視覚的フィードバックさせて咀嚼リズムを一定に保つように計画したものの,視覚的フィードバックよりも,咬筋からの筋電図を導出による聴覚的フィードバックの方が再現よく下顎位を規定できた.そのため今後は,fMRIの実験のみならず,MEGの実験においても同じ条件で咀嚼機能情報を得るために,聴覚的フィードバックを用いることとし,咀嚼機能の動的評価のためには,単に開閉口だけでなく,咬合時の歯牙及び歯根膜からの求心性の情報が,どう咀嚼運動に関与しているかを把握する必要があるためにMEGで得られるこれらの求心性情報の解明をしなければならない.
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