研究概要 |
咀嚼機能の評価にあたって臨床上,最も有用と考えられる解析方法とデータ表示方法を確立することを目的として,生理機能情報をMRIを用いて測定するために,これまで,大脳皮質一次感覚野と一次運動野での習慣性咀嚼側における咬みしめ強度を変化させた時のFunctional MRIのデータ解析を行ってきた.その結果,これまでわかっていた一連の咀嚼運動で賦活領域が増加するのではなく,咬みしめ強度を上げることによって,賦活領域が増加し,さらに賦活領域における信号強度も増加することが明らかになった.また,tappingでは一次感覚野が優位に賦活している様相を示した.さらに咀嚼運動をさせることなく咀嚼状態の想像によって,どのように賦活領域に変化があるのかを検討したところ,想像だけでも一次感覚運動野が賦活する事が明らかになった.またfMRIの実験のみならず,MEGの実験においても咀嚼機能情報を得るために,機械刺激による歯根膜機械受容器からの求心性情報の測定では,加速度センサーが,S/N比の低下を招いた.そのため下口唇刺激による一次感覚野への求心性情報を検索したところ,対側の一次感覚野に反応を認めた.対側の一次感覚運動野付近の43msに信号源を推定することができた.このことから,口腔領域関連の生体機能計測としての脳機能計測は一次感覚運動野の賦活として評価することが可能になり,この評価法を用いることによって口腔機能のより客観的な状態指標の提示が可能になったことが確認できた.リアルタイムの形態計測に関しては,十分な速さで測定することが現段階で不十分であり,今後は機能情報を満足しうる形態計測を押し進めていきたい.
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