研究概要 |
我々は、チタン粉末を通常の泥しょう鋳込法により成形して、その成形性、成形体の性質、焼結したときの焼結体の性質等について調べた。アルギン酸ナトリウムの添加量は0.5%として、3種類の水/チタン粉末比(W/P=0.318,0.354,0.391)の泥しようのpHを調整して、粘度を測定して、最低の粘度を示すpHを求めた。それぞれのW/Pの泥しょうについて最小の粘度のものを石膏鋳型に注入し放置して離型して、成形体の嵩密度と生強度を計算した。成形体をチタン箔とスポンジチタン粉末で包埋して、Ar雰囲気中で1100℃、1200℃、1300℃の温度で、1h、2h、3hと加熱して、炉冷し収縮率と嵩密度を測定した。各W/P=0.318,0.354,0.391の泥しょうの粘度(cP)は、pHの低下とともに減少して、それぞれpHが4.56、4.42および4.58で最小となった。W/P=0.318,0.354,0.391の各成形体の嵩密度(g/cm^3)は、それぞれ2.21(0.04)、2.18(0.01)、2.21(0.01)となり有意な差はなかった。成形体の生強度(MPa)は、W/P=0.318,0.354,0.391について、それぞれ2.31(0.24)、3.09(0.10)、3.82(0.28)であり、有意な差を示した。l,100℃、1,2,3hの焼結では、W/P=0.318,0.354、0.391について、それぞれ17.3〜19.4、16.7〜19.5、17.6〜18.3の収縮率(%)を示した。またこの時、嵩密度(g/cm^3)は、3.89〜4.14、3.71〜4.14、3.37〜4.04であった。1,200℃焼結では、収縮率はそれぞれ19.8〜20.8,19.7〜20.0 19.4〜20.0であり、嵩密度は4.21〜4.35、4.20〜4.37、4.23〜4.35であった。1,300℃焼結では、収縮率はそれぞれ20.3〜20.5、20.1〜20.5、19,9〜20.1であり、嵩密度は4.33〜4.38、4.31〜4.37、4.32〜4.39であった。全体として、焼結体の相対密度は、チタンの理論密度(4.51)の82.3〜97.3%の範囲を示した。1,200℃以上の温度では、最初の1時間で嵩密度はほぼ平衡に達した。
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