研究課題/領域番号 |
09557164
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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研究分担者 |
高田 真仁 新潟大学, 歯学部, 助手 (10251828)
野村 務 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (20228365)
新垣 晋 新潟大学, 歯学部, 助教授 (30134943)
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キーワード | 癌骨転移 / 癌骨浸潤 / PTHrP / PTH / PTHrPレセプター / Bisphosphewate / 形態学 |
研究概要 |
本年度は、癌の骨吸収の動物実験モデルを用いて、強力な骨吸収促進因子であるPTHrPとそのレセプターの検索をさらに進めるとともに、血管新生因子であるVEGFについても局在を細胞組織化学的に検討し、腫瘍細胞、破骨細胞、間質細胞そして細胞外基質との関係を微細形態学的に検索した。高カルシウム血症を誘発したPTHrP産生腫瘍細胞による骨吸収において、VEGFの局在を検索した結果、腫瘍塊の基底側の腫瘍細胞で強い局在がみられた。微細形態学的には、腫瘍塊の周囲には豊富な血管が存在しており、VEGFなどの因子によって誘導された血管が腫瘍自身の増殖や、破骨細胞の誘導にも関与していることが示唆された。腫瘍塊はその周囲に基底膜を形成していたが、一部基底膜の形成が見られず、直接、間質細胞と細胞間接触しており、また骨基質の近傍では、単核の破骨細胞の前駆細胞が見られたが、これらは間質細胞と直接的に細胞接触をしており、これら間質細胞はPTH/PTHrPレセプターを有していたことから、腫瘍細胞の産生するPTHrPにより刺激を受けた間質細胞との間で何らかの細胞間相互作用が行われていると考えられた。また、骨基質に近接した腫瘍細胞は、間質細胞と直接細胞接触しているものと、一層の細胞外基質を介して間質細胞と間接的に細胞接触しているものが見られた。 さらに破骨細胞が有していることが知られ、類骨の溶解に関与していると考えられる細胞外基質分解酵素であるMMP-9の免疫局在を検索した結果、骨組織周囲の腫瘍細胞において陽性反応がみられた。このことから、腫瘍細胞の産生するMMP-9は、骨表面に存在する類骨の溶解にも関わっていることが示唆された。 以上の結果および関連所見は、第20回アメリカ骨代謝学会(ASBMR)、厚生省がん研究会等で公表し、高い評価を受けた。
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