研究課題
基盤研究(B)
従来私達の施設では、難治性の下顎骨骨髄炎の手術時にポリメチルメタクリレート(以下PMMA)を担体とするドラッグデリバリーシステム(以下DDS)を利用し良好な成績を得てきた。本研究ではPMMAに替わり、より安全で生体親和性を有するハイドロキシアパタイトブロック(以下HAB)を担体とするDDSを開発した。HABに抗菌剤を封入する方法を検討したところ、HAB中央に円筒状の穴をあけそこに粉末状の抗菌剤を封入する方法が、最も簡易で封入抗菌剤の量や種類をコントロールしやすい方法であることが判った。既成のHABでは下顎骨の形態に適合しないため、新規に下顎骨用のHABを設計した。通常の手術方法としてよく用いられる下顎骨頬側の皮質骨除去後に生じる死腔に適合する形態で、かつ骨髄炎の治癒後には骨補填材として顔貌を維持できる形態のHABを作成した。この新しい下顎骨用のHABと、従来用いてきたPMMAとに同量のゲンタマイシンを封入し、in vitroでその溶出濃度を調べた結果、初めの4日間はHABからの放出量が多いもののその後はほぼ同程度のゲンタマイシンの徐放が認められた。in vivoの検討については、山羊成獣がヒトに近い大きさの下顎骨を有することより、山羊の下顎骨の皮質骨を除去しそこに新作のHABを埋入した。術後感染などの合併疾患は生じず、経過良好である。一定期間後屠殺し、下顎骨とHABの生着状態や周囲組織の抗菌剤濃度について検討する予定である。
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