研究概要 |
1.溶連菌製剤OK-432のブタノール抽出物より、生理活性物質であるリポタイコ酸を分離・精製した。すなわち、OK-432のIFN-_γ誘導を部位を認識するマウス単クローン抗体(TS-2)をリガンドとしたアフィニティー・クロマトグラフィーを調製し、OK-432のブタノール抽出物よりTS-2抗体と反応する抗原を分離し、更に高速液体クロマトグラフィーにより精製した。 2.OK-432より抽出したリポタイコ酸標品(OK-LTA)は、ヒト末梢血単核球と反応して、IFN-α,β,γ,TNF-α,β,IL-1β,IL-12等のサイトカインを誘導し、更にNK,LAK活性を誘導することを明らかにした。 3.ヌードマウスにヒト頭頸部癌細胞(口腔扁平上皮癌細胞と唾液腺癌細胞)を移植して、X線(10Gy),5-Fu(40mg/Kg),OK-LTA(10-100μg/body)をそれぞれ単独及び併用投与して、抗腫瘍効果を検討した。その結果、放射線、5-Fuの抗腫瘍効果は、OK-LTAにより増強されることが示唆された。 4.OK-LTAをリポソームに封入した標品を調製した。このリポソームに封入したOK-LTAでヒト末梢血単核球を刺激すると、リポソームに封入していないOK-LTAの場合と比較して、IFN-α,β,γ,TNF-α,β,IL-1β,IL-12等のサイトカインの産生は有意に増強した。 5.口腔粘膜癌を放射線、テガフ-ル、OK-432にて同時併用治療を行うと非常に有効であること、この場合の治療効果は、口腔扁平上皮癌細胞の分化とアポトーシスとに関連していることが示唆された。
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