研究概要 |
1.A群溶血性レンサ球菌製剤OK-432において、IFN-γ誘導活性を中和する単クローン抗体TS-2を結合させたCNBr-activated Sepharose 4Bを用いたアフィニティ・クロマトグラフイによりIFN-γ誘導分子(OK-LTA)を精製した。このOK-LTAはリポタイコ酸を含む糖脂質標品である。OK-LTAはin vitro及びヌードマウスを用いたin vivoの実験系において、著明な抗腫瘍活性を保有していた。2.Negative liposome kit(egg lecithin:dicetylphosphate:cholesterol=7:2:1,molar ratio)を用いて、リポソームに封入されたOK-LTA(Lipo-OK-LTA)を調製した。この標品でヒト末梢血単核球(PBMC)を刺激すると、IFN-γ,TNF-α,β,IL-12などのTh1タイプサイトカインを著明に産生し、またNK及LAK細胞を誘導した。Lipo-OK-LTAの活性は、抗アシアロGM1抗体と補体により、ほぼ完全に中和された。3.Lipo-OK-LTAは、同系Meth-A腫瘍及びcolon26腫瘍を担うBALB/cマウス、並びにヒト唾液腺癌(HSG)を担うヌードマウスに対して、著明な抗腫瘍活性を保有していることを明らかにした。更に、高レベルのNK及びLAK活性の誘導、並びにアシアロGM1,IFN-γ,TNF-α及びIL-1β陽性細胞数の有意な増加が、Lipo-OK-LTAで治療したマウス脾細胞に検出された。4.上記の胆癌マウス、及びヒト口腔扁平上皮癌細胞(BHY,HN)を担うヌードマウスにおいて、Lipo-OK-LTAは放射線或いは5-Fuの治療効果を有意に上昇させることを明らかにした。
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