研究概要 |
主として舌癌由来細胞株(NA細胞)を用い、抗癌剤(CDDP,5-Fu)、IFN-γ、NO供与体であるSNP,SNAP,NOCなどの処理によるアポトーシスの誘導を検討するとともに、c-myc,c-mybなどのprotooncogene,ICAM-1などの接着分子、Fas/Fas ligandおよび可溶性Fasの発現誘導に対する影響を検討し、以下の結果が得られた。 1 NO供与体でNA細胞を処理すると、アポトーシスが誘導され、それとともにc-myc,c-mybmRNAの発現の抑制が認められた。 2 CDDP,5-FuによってもNA細胞にアポトーシスが誘導され、その誘導機構にFLICE(caspase-8)が関与することが推測された。ただし、両抗癌剤の相乗効果は見られなかった。 3 CDDP,5-FuでNA細胞を処理すると、ICAM-1の発現が増強され、両者を併用すると相乗効果がみられた。その際、5-Fuで先に処理した方が相乗効果は高かった。 4 NA細胞をIFN-γおよびFas抗体(CH11)で処理すると、アポトーシスが誘導された。その際、膜結合型Fasには変化がなかったが、培養液中の可溶性Fasの減少がみられた。 5 HL-60細胞をIFN-γあるいはTNF-αで処理すると、FasおよびFas ligandの発現が増強された。それに対しbcl-2の発現は、蛋白およびmRNAレベルともに抑制された。 以上の結果から、CDDP,5-Fuなどの抗癌剤、NO供与体でアポトーシスが誘導され、アポトーシスの誘導はlFN-γやTNF-αによって増強されることが判明した。現在、抗癌剤とNO供与体あるいはサイトカインとの併用効果を検討中である。
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