研究課題/領域番号 |
09557174
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
相馬 邦道 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10014200)
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研究分担者 |
植木 達彦 古河電気工業(株), 研究員
米山 隆之 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (00220773)
野田 隆夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10251539)
大坪 邦彦 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20272601)
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キーワード | Ti-Ni合金 / 超弾性 / 矯正用ワイヤー / 曲げ試験 / Co-Cr合金 / ステンレス鋼 / 熱処理 / 中空型ワイヤー |
研究概要 |
超弾性型Ti-Ni合金線の新しい形態として、中空型のものが開発されている。本研究においてもこの新しい形態を生かすべく、その内空部分に着目して、そこに異なるワイヤーを挿入することで複合化したワイヤーについて検討した。 材料としては、医療分野においてカテーテルとして用いられている外径0.51mm、肉厚0.105mmの中空型超弾性Ti-Ni合金線と、その内空へ直径0.254mm(0.010inch)のCo-Cr合金線を挿入して複合材料としたものを用いた。中空型Ti-Ni合金線は、ソルトバス(硝酸塩系ソルト)を用いて500℃30minの熱処理を行い、その後37℃下において2点支持中央集中荷重試験(3点曲げ試験)を行った。 中空型超弾性Ti-Ni合金線の荷重-たわみ曲線から、良好な超弾性特性を示し、塑性変形もほとんど認められなかった。また、同一外径を有する従来の超弾性型Ti-Ni合金線と比較して、内空部分の存在によりその超弾性領域における荷重は低くなる結果が得られた。これにより、矯正治療初期の段階で、ワイヤーサイズを下げることなく、より小さい力で歯の移動が可能であろう。一方、中空型超弾性Ti-Ni合金線にCo-Cr合金線を挿入した複合ワイヤーは、高剛性が得られ、塑性変形は認めらなかった。矯正治療後期の段階の前歯の後方移動や咬合挙上をおこなう際には、高剛性を必要とする場合も少なくないため、同ワイヤーの内空にCo-Cr合金線やステンレス鋼線を挿入することにより、アーチワイヤーを交換することなくその剛性および超弾性領域における荷重を高めることが可能であろう。 以上の結果より、従来の超弾性型Ti-Ni合金線の硬化熱処理を加えて得られる荷重変化よりも大きい変化が可能となり、これまでにない新たな矯正治療の開発につながることが考えられる。
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