研究概要 |
著者等の超原子価ヨウ素-ケイ素交換反応を活用して、アルキニルトリメチルシランからアルキル側鎖の長さの異なるアルキニルヨーダン(アルキル側鎖数1〜17)を選択的に合成し、その抗真菌活性を比較検討した。寒天希釈法を用いて最小発育阻止濃度(MIC)を測定したところ、アルキニル基の炭素数が10のアルキニルヨーダンがカンジダ菌やクリプトコッカス菌等の酵母状真菌に対して最も強い抗菌力(MIC:3.13-12.5μg/ml)を示した。白癬菌(紙状菌)に対しては、炭素数が8〜11のアルキニルヨーダンが強い抗菌活性(MIC:6.25-12.5μg/ml)を示した。アルキル側鎖が環状のアルキニルヨーダンも同様に幅広い抗菌スペクトルを示した。なお、アルキニルヨーダンの対アニオン(Et_2NCS_2-,(PhO)_2PO_2-,BF_4-,Ar_4B-,TsO-等,)の効果を調べるために、まずそれらの合成について種々検討したところ、合成の容易さ、塩の安定性等からBF_4が最も優れていることが明らかとなった。 以上のように、アルキニルヨーダンにおけるアルキル側鎖の最適化を検討して、カンジダ菌、クリプトコッカス菌、白癬菌等に対してケトコナゾールに勝るとも劣らない活性を示すアルキニルヨーダン(n=8)を見出すことができた。 アルキニルヨーダンのDNA切断活性についても検討した。切断強度の測定には超螺旋構造を持つプラスミドCoI EI DNAを用い、プラスミドDNAの構造変化を観測できる電気泳動法で測定した。この場合にもアルキニル基の炭素数が10のアルキニルヨーダンが最も強いDNA切断活性を示すことが明かとなった。
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