研究課題/領域番号 |
09557183
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
國枝 武久 熊本大学, 薬学部, 教授 (80012649)
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研究分担者 |
大関 正勝 田辺製薬(株), 医薬育成研究所, 部長研究員
松永 浩文 熊本大学, 薬学部, 助手 (10274713)
石塚 忠男 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60176203)
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キーワード | 2-オキサゾロン / 2-イミダゾロン / 2-オキサゾリジノン / 2-イミダゾリジノン / 不斉補助剤 / 不斉配位子 / 不斉反応試薬 |
研究概要 |
反抗機構を基に設計合成した超効率不斉制御能を持つ三環性2-オキサゾリドンや2-イミダゾリドン系不斉補助剤およびその開環により得られる二環性β-アミノアルコールやジアミン系の不斉配位子を開発し、分子設計に柔軟に対処できる自由度の高い高効率不斉合成プロセスを確立することを目的とした。 1.三環性2-オキサゾリドン体及び2-イミダゾリドン骨格体の効率合成と不斉補助剤としての利用: 2-オキサゾロン及び2-イミダゾロン等の不飽和複素5員環体と環状ジエン(アントラセンやシクロペンタジエン誘導体)との[4+2]環化付加体の両対掌体を、当研究室で開発したMAC acid(2-exo-methoxy-1-apocamphanecarboxylic acid)を用いるジアステレオマ-法により光学的に純粋に大量合成した。これら光学活性体は、エバンス型不斉補助剤として、ジアステレオ選択的不斉アルドール反応やマイケル付加反応などの基本的不斉炭素-炭素結合生成反応に対して、既存の同系統試薬を凌駕する優れた不斉制御能を示し、本骨格系不斉補助剤の特異性有用性を実証した。 2.ビジクロ骨格系アミノアルコール及びジアミン類の合成と利用: (a)不斉配位子としての利用:前述のキラル三環性2-オキサゾリドン体を開環することにより容易に得られるβ-アミノアルコール体を不斉配位子とする不斉触媒反応を検討した。その結果、ケトンのボラン還元やメソ型環状ジカルボン酸無水物の不斉開環において、従来に無い高い不斉選択性を示した。 (b)不斉反応試薬としての利用:前述の光学活性β-アミノアルコール体の金属アルコシドは、メソ型1,3-ジアシル-2-イミダゾリジノン体のエナンチオ選択的脱アシル化剤として、高い分子不斉識別能を示すことが明らかとなった。これは、光学活性2-イミダゾリジノン体の大量合成法としても非常に興味深い反応である。
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