研究課題/領域番号 |
09557186
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 順一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80006337)
|
研究分担者 |
小林 典裕 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90205477)
池川 繁男 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90111301)
|
キーワード | 免疫工学 / モノクローナル抗体 / ファージディスプレイ / 一本鎖Fvフラグメント / 11-デオキシコルチゾール |
研究概要 |
高感度、高選択的な分析システムを構築するうえで、目的の分子構造を精密に認識する機能性器材が不可欠である。抗体は、免疫方法の工夫により種々の抗原に対して産生しうるため、利用価値の高い機能性分子として重用されてきた。しかしながら、動物の免疫応答性は遺伝的統御を受けるため、十分な結合特性を示す抗体が得られない場合も少なくない。一方、免疫工学的手法を用いて抗体分子の相補性決定領域(CDR)へランダムな変異を導入することにより、天然の抗体を凌ぐ特異性・親和力を保有し分析器材として有用な種々のミュータント抗体を創製することが可能と期待される.以上の観点から本年度は、副腎皮質ステロイドである11-デオキシコルチゾール(11-DC)に対するモノクローナル抗体(CET-M8)の一本鎖Fvフラグメント(scFv)をクローニングし、その諸性質に検討を加えた.すなわち、先に樹立したCET-M8抗体産生ハイブリドーマ株より全RNAを抽出し、RT-PCRによりH鎖及びL鎖可変部の遺伝子をクローニングした。ついで、PCRスプライシングによりこれらを連結してscFv遺伝子を構築し、ディスプレイ用ファージミドベクターに挿入したのち大腸菌XL1-Blue株に導入した.この形質転換体にヘルパーファージを感染させてscFvをM13 ファージ上に発現させ、固定化11-DCとの反応に基づくパンニングを経て抗11-DC活性を示すscFvを保持したファージクローンを得た.ひきつづき、本フラグメントを可溶型タンパクとして調製し、その性質をトリチウム標識11-DCを用いるRIAにより詳細に吟味した。その結果、本scFvは優れた親和力(Ka=1.3×10^<10>M^<-1>)と特異性(交差反応性:コルチゾール 0.14%、コルチゾン 0.21%)を示し、CET-M8抗体の性質を十分に保持していることが判明した.本フラグメントのCDR に選択的にランダムな変異を導入してミュータント抗体ライブラリーを構築することで、超高感度で高選択的な分析法を可能とする機能性器材の探索が可能と期待される.
|