• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

テロメラーゼcDNA単離とその臨床への応用

研究課題

研究課題/領域番号 09557195
研究機関広島大学

研究代表者

井出 利憲  広島大学, 医学部, 教授 (60012746)

研究分担者 田原 栄俊  広島大学, 医学部, 助手 (00271065)
キーワードテロメラーゼcDNA / hTRT / テロメラーゼ発現 / 細胞癌化 / 癌組織 / 細胞不死化
研究概要

ヒト体細胞は細胞分裂の度にDNA末端が短縮するため,有限分裂可能回数をもつ。DNA末端を延長する特殊な逆転写酵素であるテロメラーゼをもつ細胞は、分裂ごとの末端短縮を補償できるため無限分裂可能(不死化細胞)である。ヒト体内では,テロメラーゼは生殖巣と癌組織にのみ高い活性が発現し,大部分の組織ではほとんど検出されない。テロメラーゼはヒトの癌化に重要な役割を果たすものとして注目される。しかし,テロメラーゼ酵素の精製やcDNAクローニングはきわめて困難で,全生物を通じて成功していなかった。本研究課題は,高いテロメラーゼ活性を持つ哺乳類組織からテロメラーゼを精製し,そのアミノ酸部分配列決定からcDNAをクローニングし,さらに構造類似性からヒトテロメラーゼcDNAをクローニングし,ヒトテロメラーゼの性質を調べようとするものである。高いテロメラーゼ活性をもち,材料入手の容易な哺乳類組織としてブタ精巣を出発材料とし,酵素を抽出して各種のカラムクロマトグラフィーによって,最終的に数本のタンパク質バンドにまで精製した。この過程を繰り返して,アミノ酸分析に必要なまでの量を集積するよう実験を進めた。ところがこの間アメリカを中心とする研究者が,酵母および原生動物といった下等生物からテロメラーゼの触媒ユニットと思われる遺伝子のcDNAクローニングを報告し(平成9年3,4月),次いで,これとの構造類似性から得たヒトcDNA(hTRT)のクローニングを報告した(平成9年8月)。東工大の石川らも同様の方法でクローニングを進めていることが分かったため,得られたcDNAの機能解析などを共同して進めることとした。その結果,hTRTcDNAをテロメラーゼ活性陰性のヒト正常細胞に導入することで活性が発現すること,ヒト培養細胞や癌を含めた組織検体で,テロメラーゼ活性とhTRT発現とが良く相関することなどが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kataoka,H.: "Immortalization of immunologically committed Epstein-Barr virus-transformed numan B-lymphoblastoid cell lines accompanied by a strong telomerase activity." Differentiation. (in press).

  • [文献書誌] Nakayama,N.: "Telomerase activation by the catalytic component gene TRT in human prirnary fibroblasts and hepatocellular carcinomas." Nature Genetics. 18・1. 65-68 (1998)

  • [文献書誌] Nakashio,R.: "Significance of telomerase activity in the cliagnosis of small differentiated hepatocellular carcinomas." Int.J.Cancer. 74. 141-147 (1997)

  • [文献書誌] Murakami,J.: "Telomerase activity in ovarian tumors." Cancer. 80. 1085-1092 (1997)

  • [文献書誌] Tahara,H.: "Abnormal tolomere dynamics of B-lymphoblastoid cell strains from Werner's syndrome patients transformed by Epstein-Barr virus." Oncogene. 15. 1911-1920 (1997)

  • [文献書誌] Hirose,M.: "Arapid,useful and quantitative method to measere telomerase activity by hybridization proteclion assay (HPA) connected with telomeric repeat amplification protocol (TRAP)." J.Cancer Res.Oncol.123. 337-344 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi