研究課題/領域番号 |
09557196
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小澤 孝一郎 広島大学, 医学部, 講師 (10211822)
|
研究分担者 |
内藤 正幸 オリンパス光学工業(株), 第2開発部, 課長(研究職)
田村 敦史 広島大学, 医学部, 助手 (30261225)
升島 努 広島大学, 医学部, 教授 (10136054)
|
キーワード | 2焦点面同時観察顕微鏡 / スペクトル / 膵β細胞株MIN6細胞 / インスリン / 開口放出 / 細胞内カルシウム動態 / 細胞膜電位変化 / 薬効解析 |
研究概要 |
レーザースペクトロ分子顕微鏡の開発と細胞分子・機能解析への応用を試み、以下の実績を得た。 1.レーザスペクトロ分子顕微システムの構築 レーザースペクトロ顕微鏡開発の基礎的検討を行った結果、細胞内イオンの微量な変動に起因する極微弱なスペクトルの変化を検出するためには、1焦点面のみでの観察では困難であることが判明した。そこで、異なる複数の焦点面のスペクトル像が同時にリアルタイムで観察可能な2焦点面同時観察スペクトル顕微システムの構築を試みた。その結果、顕微鏡(設備備品費にて購入)、ビームスプリッター、ハーフミラー、ミクロ型Z型ステージ(自作)、高画質業務用ビデオデッキ、リアルタイム画像解析装置を組み合わせることにより、2焦点面同時観察スペクトル顕微システムの開発に成功した(Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 15,1483-1488 ; Analytica Chemica Acta in press)。現在、このシステムを更に改良し、最終目的であるレーザースペクトロ分子顕微鏡の開発を行っている。 2.膵臓β細胞インスリン放出機構の解明 血糖値維持において重要な役割を果している膵臓β細胞からのインスリン放出機構を、膵臓β細胞株(MIN6)と上記1で開発した2焦点面同時観察スペクトル顕微システムを用い解析した。その結果、グルコース刺激からインスリン分泌に至る過程において、(1)まず細胞膜電位が上昇し、その後細胞内カルシウムの上昇が認められること、(2)従来は細胞膜電位の上昇により細胞外からのカルシウム流入が引き起こされ、結果的に細胞内カルシウム濃度が上昇すると考えられていたが、細胞内ストア-からのカルシウム放出が引き金となり細胞外からのカルシウム流入を誘導している等を明らかとした(Analytica Chemica Acta in press ; J.Biol.Chem in presss)。
|