研究概要 |
レーザースペクトロ分子顕微鏡の開発と細胞分子・機能解析への応用を試み、以下の実績を得た。 1. マルチフォーカス立休カラービデオ顕微鏡の構築 平成9年度の本研究により、倒立型顕微鏡(平成9年度設備備品費にて購入)、ビームスプリッター、ミクロメーター型Z軸ステージ(自作)、モノクロCCDカメラ、高画質業務用ビデオデッキ、リアルタイム画像解析装置を組み合わせた2焦点面同時観察スペクトル顕微システムの開発に成功した。本年度はさらに、より高度な解析を可能にすることを目的とし、モノクロCCDカメラでは抽出できなかった色調による情報をカラーCCDカメラにより検出し、さらに、入射光として波長改変式蛍光検鏡装置(本年度設備備品費にて購入)を用い、細胞内分子の分布を画像化するスペクトロ立体分子顕微鏡を構築を試み、2焦点面同時観察カラースペクトル顕微システムの開発に成功した(Analytica Chimica Acta 365,3-7;Biol.Pharm.Bull21,886-888)。現在、このシステムを更に改良し、最終目標であるレーザースペクトロ分子顕微鏡の開発を進めている。 2. モデル水溶液系でのスペクトル解析及び細胞内イオン動態解析への応用 カルシウム等の単一無機物質を含む水溶液系において、上記1で構築した2焦点面同時観察カラースペクトル顕微システムを介して得られるスペクトル測定の基礎的検討を行った。さらに、血糖値維持において重要な役割を果たしている膵臓β細胞からのインスリンの放出機構に関わる細胞内カルシウム濃度の上昇を、膵臓β細胞株(MIN6)と上記1で開発した2焦点面同時観察スペクトル顕微システムを用い解析した。その結果、細胞内カルシウム濃度測定の可能性を見出した(Biol. Pharm. Bull. 21, 1240-1241;Japan J. Pharmacol. in presss)。
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