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1998 年度 実績報告書

次世代の薬物治療を目指した細胞性製剤の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 09557202
研究機関大阪大学

研究代表者

堤 康央  大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50263306)

研究分担者 真弓 忠範  大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00098485)
キーワード細胞性製剤 / APAカプセル / 免疫隔離 / DDS
研究概要

細胞は、生体の恒常性を維持するために、周辺環境に応じて必要な時に、必要な量だけの適切な生理活性物質を生合成・分泌するという見事なセンサー機能を有している。この細胞が分泌制御している生理活性物質を薬物と見立てた場合、細胞が有する諸機能はまさしくDDS製剤の理想型と言える。従って、この細胞自身を薬物担体として利用しようとする細胞性製剤は、次世代の安全かつ有効な医薬品候補となり得るものと期待される。この細胞性製剤を開発するためには、疾病治療に有効な生理活性蛋白質を徐放制御し得る機能性細胞の作製が必須となってくるが、この点については近年の目覚まし遺伝子工学技術の進歩や我々が独自に開発した膜融合リポソームによってすでに克服可能になりつつある。しかしながら、以上により人工的に創製された機能性細胞を細胞性製剤として適用するためには、宿主からの拒絶反応を防ぎ、機能性細胞を生体内環境下で安定に長期間機能させ得る技術の開発等が要求されてくる。特に将来的応用範囲を考えた場合、非自己をも含めた機能性細胞を応適用するためには、宿主の免疫系から完全に隔離し得る技術が必要となる。平成9年度は、「細胞性製剤」の粒子設計に向けて、APAマイクロカプセル(細胞固定化担体)に細胞を封入することで宿主からの免疫隔離能が可能となることを見出した。本年度は、機能性細胞[抗ヒトインターロイキン-6モノクローナル抗体産生細胞(SK2細胞)]を上記APAマイクロカプセルに封入することで、モデル疾患に対する細胞性製剤による治療効果を評価した。その結果、SK2細胞封入APAマイクロカプセルを腹腔内に投与することで、ヒトインターロイキン-6トランスジェニックマ.ウスのIgG1プラズマサイトーシスおよびメサンギウム細胞増殖性糸球体腎炎の発症抑制と、それに伴う生存日数の延長が達成されることを明らかとした。以上の結果は、生理活性物質を産生・分泌する細胞自身を疾病治療に応用可能であることを示しており,細胞性製剤ともいうべき新規投与剤形を提示することができたものと考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tsutsumi Y.et al: "Tumor necrosis factor alpha-mediated tumor regression by the in vivo transfer of genes in to the artery that leads to tumors." Cancer Res.58. 5725-5730 (1998)

  • [文献書誌] Tsutsumi Y.et al: "Immunological studies of SK2 hybridoma cells microencapsulated with alginate-poly(L)lysine-alginate(APA)membrane following allogeneic transplantation." Biochem.Biophys.Res.Commun.230. 524-527 (1998)

  • [文献書誌] Mayumi T.et al.: "Possibility of cytomedical therapy for diabetes melitus using microcapsulated pancreatic β cell line with glucose sensor." Drug Delivery System. 13. 95-100 (1998)

  • [文献書誌] Mayumi T.et al.: "The optimization of cytoplasmic gene expression system with T7 RNA polymerase." Drug Delivery System. 13. 87-93 (1998)

  • [文献書誌] Mayumi T.et al.: "Development of VSV-liposomes as a novel gene transfer vector" Drug Delivery System. 13. 159-164 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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