研究概要 |
1.出芽酵母を用いた新しい遺伝子診断系の開発 BRCA1,BRCA2,ATM,APC,DNAミスマッチ修復遺伝子(hMSH2、hMLH1)の出芽酵母における発現用ベクターシステムを開発した。このうち前5遺伝子については酵母のマーカー遺伝子URA3との融合発現ベクターを用いることにより、これら遺伝子の変異の大部分を占めるナンセンス・フレームシフト変異を特異的に検出できるストップコドンアッセイである。hMLH1遺伝子についてはその機能を出芽酵母のミスマッチ修復能でモニターすることにより変異の有無を判定できる遺伝子機能診断法である。 2.出芽酵母を用いた遺伝子診断系の信頼性のテスト すでに開発済みの出芽酵母を用いたp53がん抑制遺伝子の機能診断系を用いて各種ヒト培養細胞株を変異の有無についてスクリーニングした結果と、自動DNA塩基配列決定装置(平成9年度購入設備備品)で得たp53遺伝子の変異データは一致した。従って出芽酵母を用いた遺伝子診断系は遺伝子変異スクリーニング法として有用であることが判明した。 3.多サンプル処理能力のための改良・技術開発 より少ない検査材料から各種遺伝子断片増幅のための至適PCR条件を設定した。RNA抽出操作に関しては市販のキットを用いたが、手技がやや繁雑であるためさらなる技術改良が必要であることが判明した。出芽酵母のアッセイ用マーカー遺伝子を改良することにより多サンプル処理能力の大幅な改善およびアッセイ時間の短縮が得られるため、GFP遺伝子をアッセイ用マーカー遺伝子にして上記出芽酵母の遺伝子診断系を改良を試みている。
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