研究概要 |
BRCA1,BRCA2,ATM,APC,DNAミスマッチ修復遺伝子(hMSH2、hMLH1)の出芽酵母における遺伝子診断システムを開発した。このうち前5遺伝子については酵母のマーカー遺伝子URA3との融合発現ベクターを用いることにより、これら遺伝子の変異の大部分を占めるナンセンス・フレームシフト変異を特異的に検出できるストップコドンアッセイである。hMLH1遺伝子についてはその機能を出芽酵母のミスマッチ修復能でモニターすることにより変異の有無を判定できる遺伝子機能診断法である。出芽酵母のアッセイ用マーカー遺伝子を改良することにより多サンプル処理能力の大幅な改善およびアッセイ時間の短縮が得られるため、GFP遺伝子をアッセイ用マーカー遺伝子にして上記出芽酵母の遺伝子診断系を改良を試みた。その結果、GFPをマーカーとすることによりp53遺伝子の転写機能診断系、上記ストップコドンアッセイシステム、hMLH1遺伝子の機能診断系の改良に成功し、短時間に多検体を処理できる遺伝子診断システムが構築された(論文投稿中)。hMLH1遺伝子の機能診断系により、遺伝性非腺腫症性大腸癌由来の約50種類のミスセンス変異について機能診断を行った。その結果、本アッセイ系は大部分の変異を検出できることが示された。従って出芽酵母を用いた遺伝子診断系は遺伝子変異スクリーニング法として有用であることが判明した。
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