研究課題/領域番号 |
09557209
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 進 東北大学, 薬学部, 教授 (80004604)
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研究分担者 |
古城 健太郎 トーマエイヨー, 福島研究所, 研究部長
坂本 尚夫 東北大学, 薬学部, 教授 (00006347)
吉田 真 東北大学, 薬学部, 助手 (90201011)
草場 美津江 東北大学, 薬学部, 助手 (50175311)
比佐 博彰 東北大学, 薬学部, 助教授 (60192712)
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キーワード | 変換酵素 / ニュートラルエンドペプチダーゼ / BMS-182657 / 降圧作用 / 利尿作用 / SHR |
研究概要 |
本研究課題はangiotensin-converting enzyme(ACE)とneutral endopeptidase(NEP)の活性部位構造の類似性に着目し、単独で両酵素に対する阻害作用を持つDual Inhibitorsの抗高血圧薬としての開発を目的としている。今年度は、薬物の両酵素阻害作用の薬理学的特徴を捉えるため、代表的なDual InhibitorであるBMS-182657(BMS)の降圧および利尿作用について、高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて検討した。 BMSの静脈内投与により、著明な降圧はみられたものの用量による差は認められなかった。尿量、尿中ナトリウム排泄量は顕著に増加し、尿浸透圧は低下した。また、BMS慢性投与により、収縮期血圧は投与開始1週間後には顕著に低下し、4週間維持された。尿量・尿中ナトリウム排泄量はBMS投与により顕著に増加した。血漿レニン活性はVehicle投与群と比較してBMS投与群において高かった。 以上の結果より、BMS投与による急性実験で、顕著な降圧および利尿作用が観察され、また慢性実験においても顕著な降圧作用が認められたことから、BMSは抗高血圧作用を有することが示唆された。BMSによる利尿作用は、angiotensinIIによる近位尿細管におけるナトリウム再吸収の抑制、アルドステロンによるナトリウム再吸収の抑制、さらに抗利尿ホルモン分泌抑制による水再吸収の抑制などホルモンの影響に加えて、ANPによる腎の直接作用が関与していると考えられ、正常血圧ラットに比較してSHRにおいてこれらのホルモンに対する感受性の違いが推測される。 次年度は新規合成化合物の薬理学的検索と平行して、BMSの薬理学的特徴をさらに検討するため、SHRと対照的にACE阻害よりNEP阻害に対する感受性が高いモデルとされるDOCA-salt高血圧ラット、および食塩感受性モデルであるDahl食塩感受性ラットを用いて研究を進める予定である。
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