研究課題
基盤研究(B)
平成12年度総まとめ炎症反応の後期に滲出液中にPGE2が上昇することが知られている。そこで、ラット腹腔マクロファージを用いてエンドトキシン刺激により産生されるフロスタグランジンについて、酸性酵素の活性変動を解析した。その結果、培養初期にはPGD2、TXB2量はPGE2よりも多いが、培養時間によって変化しなかった。一方PGE2は時間とともに増加した。またアラキドン酸からの中間体であるPGH2を添加して、それぞれのPGへの変換を調べたところ、PGE2への変換活性、すなわちPGE合成酵素活性は12時間後にピークを示したが、PGI synthase, TX synthaseは変動がみられなかった。1999年7月にヒトの誘導型PGE合成酵素のクローニングが報告されたので、その配列をもとにマウス、ラットのマクロファージより誘導型PGE合成酵素をクローニングした。次いでマウス、ラットの腹腔マクロファージをLPSで刺激し、産生されるPGE2量を指標に、内因性のアラキドン酸カスケードの活性を調べた。刺激後のマクロファージにアラキドン酸を添加して変換活性を、またマクロファージのホモゲネートにPGH2を添加してPGE合成酵素活性を比較した。更に、誘導型のシクロオキシゲナーゼCOX-2および誘導型のPGE合成酵素についてそれぞれNorthern blotを行って、mRNA量について検討した。その結果、COX-2もPGE合成酵素もLPS刺激の時間とともに活性もmRNAも上昇し、PGE2の産生量に比例したが、詳細な経過はラットとマウスで異なっていた。デキタメタゾンの共存では、両酵素ともに誘導が抑制された。従って、炎症性細胞のマクロファージでは炎症刺激に応じてCOX-2ばかりでなく、PGE合成酵素も誘導されて大量のPGE2産生に寄与していることが明らかとなった。
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