研究分担者 |
久野 譜也 筑波大学, 体育科学系, 講師 (70242021)
石原 昭彦 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90184548)
林 純一 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (60142113)
高橋 英幸 日本体育学校センター, 国立スポーツ科学センター, 研究員 (00292540)
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研究概要 |
本研究の目的は,加齢に伴う骨格筋の萎縮の機序を明らかにするために,動物を用いて遺伝子レベルから,ヒトを対象として骨格筋の形態的変化まで広範囲に観察することである.さらに,加齢に伴う筋機能の低下に対して運動がどの程度有効であるのか,もし有効であるとしたら,萎縮とそれに関係した変化に対してどの様な機序でその効果がもたらされるのかを明らかにすることを第2の目的とした. 60歳以上の高齢者を対象として,定期的なトレーニングが加齢に伴う筋萎縮に与える影響を調べた結果,筋横断面積はトレーニングを行わなかった群と差がなかったが,等尺性筋力の増加が観察された.このことから週2回という低頻度のトレーニングでも筋力を改善することが可能であることが明らかとなった. 実験動物を用いた研究では,まず老化促進マウス(SAMP6)とそのコントロール(SAMR)を用いて,老化に伴う脊髄運動ニューロンの細胞体サイズと細胞数を検討した.その結果,生後50週齢までは上腕二頭筋,足底筋を支配する運動ニューロンの細胞体サイズおよび細胞数はSAMP6とSAMRで違いが見られなかったが,生後60週齢のSAMP6では運動ニューロンの細胞体サイズおよび細胞数の減少が認められた.さらにラットを用いてミトコンドリアDNAを分析した結果では,老齢ラットの骨格筋においてミトコンドリアDNAの突然変異の蓄積を検出した.また,運動により,ミトコンドリアDNAに欠損が生じるが,この欠損はすぐに元に戻ることが明らかとなった.
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