研究課題/領域番号 |
09558004
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研究機関 | 精華女子短期大学 |
研究代表者 |
口野 隆史 精華女子短期大学, その他の部局等, 講師 (60192027)
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研究分担者 |
原田 奈名子 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (70181021)
中井 隆司 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (90237199)
鐘ケ江 淳一 近畿大学九州短期大学, 保育科, 助教授 (90185918)
海野 勇三 山口大学, 教育学部, 助教授 (30151955)
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キーワード | オートポイエ-シス / システム論 / 体育授業システム / 構成素 / 学習者 / 教師 / 学び |
研究概要 |
「授業は生き物」とはよく言われが、授業が生き物であるならば、それを生きたまま捉えることは重要である。本研究では、オートポイエ-シスという考え方をもとに、体育授業を生きたまま捉える視点を示そうと試みる。オートポイエ-シスとは、「自己創出」などと訳され、ホメオスタシスのような第1世代、自己組織化のような第2世代に続く神経システムをモデルにつくられた3世代のシステム論である。この理論においては、有機体をこのシステムだとしたとき、自律性、個体性、境界の自己決定、入力と出力の不在という4つの特徴があるされる。そしてこのシステムの動作は、このシステムが“構成素"と呼ばれるものを産出する状況を示し、この点から説明すれば「『構成素が“構成素を生み出すシステム"を生み出す』ことが継続されることをオートポイエ-シス・システムと呼ぶ」(森山1997)となる。例えば社会システムは「コミュニケーション」を構成素としたオートポイエ-シス・システムである。オートポイエ-シス論的に授業システムの一面を述べれば、授業における「学習者」や「教師」と呼ばれる存在は、その間に「学び(仮説的に)」という構成素が産出されてはじめて「教師」であり「学習者」となる。両者の間に「学び」がある前から「教師」であり「学習者」であったわけではない。「教師」にしろ「学習者」にしろ授業システムの作動の(学びが現れた)結果そうなったのであり、それが授業システムの作動の原因であるかのように捉えることは本末転倒ということになる。構造は産出的作動の結果にすぎない(河本1995)。従来のシステム論のように、その要素をあらかじめ固定的に捉えるような体育授業の見方は、本来の生きた体育授業の姿を見失わせることにもなる。さらに体育授業においては、運動・スポーツシステムを教材として扱う。そこでもオートポイエ-シス・システム論的な見方が重要になると思われる。
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