研究概要 |
学習者グループによる協調学習を支援するシステムとして,知識が不十分なコンピュータに対し,グループのメンバが協調して問題解決の手順を教えていくことにより,問題の本質をとらえ,自分達の知識の体系化をおこなうことができるような学習環境の構築を試みた. 具体的には,ネットワークを介した学習者間のコミュニケーションと協調作業を支援する協調学習プラットフォームサーバをインプリメントした.そのバックエンドで,特定分野の学習支援アプリケーションシステムとして,Teaching AssistantとしてのコンピュータエージェントTA agentと,未熟な仲間コンピュータエージェントmate agentをインプリメントする. TA agentには,問題型のメニューと解説,問題型とプランの対応や,各問題型をプランやサブプランに使った解決事例集,そして基本知識の使い方の手続を持たせる.学習者グループは,クライアントプロセスとしての共同作業場HCIを介して,TA agentからアドバイスやガイダンスを受けて,議論しながら,TA agentが持つ知識からプランを作ってmate agentに与えることにより,これを教育する,というメタファによって学習を行う. この際の効果的な問題解決プランの使い分けの獲得を支援するため,言語習得過程の仮説にヒントを得て,そうした使い分けは,解決事例エピソードの比較対照に基づいて獲得されるという仮説をたて,その確認のためのシステムを作成して評価実験を行った.電気抵抗回路網の問題の解決事例集の各事例に,その解決に使われたプランやサブプランを手掛かりとしてつけ,同じ/異なるプランを用いた解決事例を検索させることにより,そうしない場合に比べて,汎化された解決プランを獲得する可能性が増えるか否かを見た.その結果,1つの訓練問題の解決でプランを当てはめて見せても効果はなく,やはり,複数の事例を共通のプランの窓で観察させることで始めて獲得があるという結果を得た.
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