研究概要 |
本研究の目的は,人間の持つ複数の感覚のモダリティに訴える感性表現を伴うメタファー(共感覚メタファー)を提供するUIを構築することである。すなわち以下の3点の研究を行う(1)分散システムのための共感覚UIメタファーの基礎的モデルの構築,(2)モデルに基づくシステムの作成,および,(3)システムの評価である。これにより以下の2点が可能になる。 (1)ユーザのメンタルモデル構築を目的としたUIの実現 従来の研究ではマルチメディアデータをどのようにグラフィカルにUIで表現するかに主眼がおかれていたが,本研究ではユーザの認知レベルに踏み込んだUIの実現が可能になる。 (2)複数のモダリティ利用による障害者,情報弱者への対応 このシステムでは障害のあるモダリティを他のモダリティで補完することにより障害者にもやさしいUIの実現が可能になる。また,近年増加する情報弱者の個々の情報アクセスへの阻害要因に適応した形でのUIを提供することが可能になる。 本年度では,特に次の2点(A)と(B)の研究を推進した。 (A)共感覚UIのプロトタイプの実装 共感覚UIプロトタイプの実装を情報弱者への対応に着目して行った。本プロトタイプではネットワーク環境上のオフィス活動を支援するマルチエージェントシステムを具体例として,利用者とシステムのインタラクションの高度化(目に見えないエージェントを人の形で可視化)することにより,利用者とシステムのインタラクション,特にエージェントとのコミュニケーションが高度化され,利用者の理解性および操作性が著しく向上した。 (B)共感覚UIのプロトタイプの評価 (A)で実装したプロトタイプにおける共感覚UIメタファーモデルの実現可能性,および,情報弱者への対応(利用者の視点に基づいた理解性や操作性など)などに基づくプロトタイプの有効性の総合的な評価を行い,共感覚UIのプロトタイプの有効性を示した。
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