研究概要 |
本研究の目的は,人間の持つ複数の感覚のモダリティに訴える感性表現を伴うメタファー(共感覚メタファー)を提供するUIを構築することである。すなわち以下の3点の研究を行う(1)分散システムのための共感覚UIメタファーの基礎的モデルの構築,(2)モデルに基づくシステムの作成,および,(3)システムの評価である。これにより以下の2点が可能になる。 (1)ユーザのメンタルモデル構築を目的としたUIの実現 (2)複数のモダリティ利用による障害者,情報弱者への対応 平成9年度では,共感覚UIメタファーのモデル化とモデルに基づくUI記述言語の作成を行った。具体的には,UIに利用する上で実際的に必要な共感覚の種類について考察し特性化を行うことにより,従来の我々のUIメタファーのモデルに比喩写像への感覚属性の導入を行い,共感覚を扱えるように拡張した。また,記述言語を設計し,その処理系をコンピュータネットワーク上に実装した。 平成10年度では,共感覚UIメタファーの構成手法の検討と共感覚UIプロトタイプの設計を行った。具体的には,ネットワーク環境上の仮想的活動空間を提供するマルチエ一ジェントシステム等を対象として,特に人間-エ―ジェントのコミュニケーションプロトコルの高度化という観点から共感覚UIメタファーの構成手法を得た。また,共感覚UIのアーキテクチャについて検討し,さらに共感覚UIメタファーの構成手法を適用することにより共感覚UIのプロトタイプの設計を行った。 平成11年度では,共感覚UIのプロトタイプの実装と共感覚UIプロトタイプの評価を行った。具体的には,ネットワーク環境上のオフィス活動を支援するマルチエージェントシステムを対象とし,情報弱者への対応に着目した共感覚UIのプロトタイプの実装及び評価を行い,共感覚メタファーの有効性を示した。
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