現在の分散処理環境において、多数の情報検索システムが存在しているが、これらの統一のインターフェースで利用できるようにすることが多年にわたり課題となっていた。Z39.50はこの目的のために開発された情報検索用のプロトコルである。1980年代からANSIとして開発されたこの検索用プロトコルは、ISOのファストトラックとして処理され、1999年に国際規格となった。Z39.50を国内規格とするための翻訳作業を行い、1999年にJIS23950として出版された。 現在、データベースサービスは、メインフレームによる検索システムからWWWによる提供へと移行しつつある。しかしながらWWWでは、情報検索過程に特有であるステートフルな検索、すなわち利用者ごとの検索集合の保持と操作とができない仕組み(ステートレス)である。被験者に課題を与えて従来のオンライン検索システムとWWWの両者で検索させ、その結果を検索戦術の観点から分析した。WWWにおける検索は、」検索の積み重ねができない上に、制限された数の検索語を使用して検索を行わなければならないため、語単位の検索になり、その限られた範囲内で、より適合性の高い文献を探し出そうとする試行錯誤的な検索戦術が多く存在することを明らかにした。これによりステートフルとステートレスな検索は、情報検索戦術の面から説明できることが明らかになった。 また、日本国内の大学図書館で使われている15種のOPACで書名と著者名の検索を行い、Z39.50の適用の前提条件となる、検索方法の標準化の問題を明らかにした。 なお、Z39.50メーリングリストを運営し、研究上の意見交換とともに普及活動を行った。
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