研究課題
研究開始年度である今年度は、ウインドウズ型パソコンを盲人がどのように利用可能であるかを解析し、問題点を明らかにした。その結果、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)に関与するあらゆる操作において使用上の困難性が見いだされたので、このユーザ・インタフェースを改善するための操作法についての概念設計を行った。主な設計概念は画面上の文字情報はスピーチシンセサイザーを利用して合成音声で伝達すること、GUIの形状は画面での位置情報および図形やグラフ情報は触覚ディスプレイを利用して触覚系から伝達すること、インタフェースとしての画面操作は触覚マウスを利用することなどである。この概念設計に従って以下の要素技術を検討し、試作研究ならびに評価を行った。(1)触覚マウスの開発触覚提示部が3mm間隔で8×8のピンアレイを導入した触覚マウスを試作した。ピンアレイを収納する筐体には一般マウス駆動部を利用し、手掌に適合するような形状に加工し、操作ボタンなどを人間工学的視点から検討し配置した。(2)触覚マウス用ドライバ・ソフトの構築触覚マウスに提示するためのソフトウエアを構築した。このユ-ティリティ・ソフトは画面情報を濃淡2値化して表示する。2値化の閾値と8×8アレイに表示する画面領域は可変として利用環境によって設定できるようにした。(3)スピーチシンセサイザーの応用すでに研究分担者が開発したパソコン用音声利用ソフトを今回使用するWindows95システムのOSに移植することを試みた。ワープロならびに表計算用アプリケーションの一部において機能することが評価研究から確認された。今年度開発した要素技術における触覚マウスとスピーチシンセサイザーとの連携操作については来年度実施する。
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