研究課題
基盤研究(B)
土の物理・化学的特性と力学的特性の双方を組み込んだ新たな斜面安定解析システムの構築を目的として、平成9〜12年度にかけて4年間の継続研究を実施している。平成9年度は科学研究費補助金申請書に記載した研究計画・方法に沿って次のような研究実績をあげた。(1)平成9年7月13日に発生した「福井県鯖江市入町地区地すべり」について、現地踏査と情報収集を実施し、次のような基礎的データをえた。(1)地すべり地の柱状図、(2)水位計データ、(3)ひずみ計データ、(4)傾斜計データ、(5)住民からの聞き取り調査データ、(6)降水量データ、(7)移動量計測データ(2)北陸地方に多発する融雪地すべりの斜面安定解析システムの構築に必要な基礎的データを求めるための屋外実験施設設備の整備を完了し、平成9年度の融雪水に関するデータの収録を実施した。(3)融雪変換モデルの理論式の再検討を行うと共に、Visual-Basicによるシミュレーションプログラムの開発を行い、平成9年度の融雪に関するデータを適用し、融雪変換モデルの有用性を確認した。(4)土の化学的特性が斜面安定解析に及ぼす影響を知るため、酸性移行を呈する土のコンシステンシー限界に関する実験を実施し、次のような結果をえた。(1)「酸性移行を呈する土」のpHの推移には経過時間と温度が深く関与する、(2)「酸性移行を呈する土」では、pHの低下にともなって液性限界・塑性限界・塑性指数は減少する、(3)「酸性移行を呈する土」の強度や変形特性を評価するためにはpHの推移を予測する必要があり、地盤環境の評価を安定解析に取り入れるためにはpHは重要な項目の1つである。(5)福井県における融雪地すべりの挙動と観測結果について、梨ヶ平地すべり(福井県丹生郡越前町)を例に取りその特徴等について検討した。
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