研究課題
基盤研究(B)
本研究では、物理的・化学的特性を組み合わせた新たな斜面安定解析システムの構築を目指し、以下のような研究成果をえた。(1)すべり面やすべり要因が明白でないすべり経歴のない斜面の安定解析を可能にするため、斜面形状・斜面を構成する土の風化状況・間隙水圧の変動等のすべり要因を土の物理的・力学的な要素に置き換え、これを安定解析法の中に取り入れ、実際のすべり機構に近い状況ですべりのシミュレーションを行う方法を提案した。(2)地層のせん断強度特性を把握するための試験法やその推定法について検討を行い、斜面の安定解析法に必要なせん断強度特性の推定に関する一試案を提案した。(3)地下水のpH値に着目し、酸性移行を呈する土の工学的性質に関する検討を行った。この研究成果の内、土のpH値と強度・変形特性の関係は「地すべり粘土の物理的・化学的特性」として斜面安定解析システムの中に組み込むべき重要な要因の一つであることを確認した。(4)浸透水(融雪水)による地すべり粘土層の生成に関して検討を行った。(5)北陸地方に発生する地すべりの主誘因の一つである融雪水の発生機構に関する検討を行った。北陸地方は冬期の気温が比較的高く、寒冷地に比べ雪質や気象条件が大きく異なるため、これらの地域特性を考慮した実用的な融雪変換モデルの確立が重要な基礎的研究課題である。ここでは、北陸地方の融雪期に発生する地すべりの安定解析に適用可能な融雪変換モデルの提案を行った。
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