研究分担者 |
名午 伸一郎 日本原子力研究所, 中性子科学研究センター, 研究員
岩本 修 日本原子力研究所, エネルギーシステム研究部, 研究員
井尻 秀信 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (90136549)
河合 光路 九州大学, 名誉教授
河野 俊彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (30234090)
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研究概要 |
本研究は、陽子線の高度利用分野(放射性廃棄物の加速器駆動消滅処理や癌の陽子線治療など)で必要とされる中高エネルギー領域における陽子核データの試験的ライブラリの作成および新しい検索・利用システムの開発を行うことを目的としている。本年度は、3つの作業項目-(1)核データ測定、(2)理論解析、(3)核データ評価・ファイル化、-を設定し、ライブラリの作成とシステム完成に向けた研究を行った。 (1) 核データ測定:標的核として炭素とアルミニウムを選定し、42および68MeVの陽子入射反応から放出される軽イオン(陽子、重陽子、3重陽子、^3He、α)の2重微分断面積測定を日本原子力研究所TIARA施設で行った。測定結果を既存の実験データや評価値と比較した結果、Bertrand等の実験値とは良い一致を示すことがわかった。また、最新の評価値LA150(LANL研究所)の重陽子放出スペクトルならびに炭素からの放出α粒子2重微分断面積が本実験値から大きく異なる傾向にあることがわかった。 (2) 理論解析:多段階直接過程を記述するモデルの1つである半古典的歪曲波(SCDW)モデルに、一体密度関数のWigner変換を導入することで、より現実的な一粒子波動関数が使用できることを示し、この新手法による計算を行った。(p,p'x)や(p,nx)反応の計算結果は実験値と良い一致を示し、以前のSCDW計算に見られた後方角での著しい過小評価が大幅に改善できることを示した。 (3) 核データ評価・ファイル化:C-12,N-14,O-16,Al-27,Si-28,Fe-56,Ni-58,Zr-90,W-184,Pb-208,Bi209に対する全反応断面積、弾性散乱断面積、非弾性散乱断面積、中性子及ぶ荷電粒子生成断面積(放出粒子の2重微分断面積)、放射化/核種生成断面積について過去の実験データの調査を行った。調査結果は、内部レポートとして整理し、特に炭素の核データ評価に必要となる数値データの収集を継続して行った。
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