研究概要 |
本年度は過去の実験的研究の結果をもとに,多波長拡散スペクトルの測定のための装置の基本構成を設計・検討し,2つの型の多波長拡散スペクトル可搬型水質測定装置を試作した。試作1号機であるMaqDas-S型は200nmから750nmまでの任意の波長における散乱スペクトルおよび蛍光スペクトルを計測可能であり,試作2号機であるMaqDas-SA型は190nmから750nmの波長範囲における任意の散乱スペクトル,蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルを計測可能である。 室内における動作試験の結果,MaqDas-S型,MaqDas-SA型ともに設計通りの性能が確認された。また、MaqDas-S型を船舶に搭載して動作確認を行ったところ,船舶の振動による波長スキャニングの不具合が確認されたが,防振装置を搭載することによって,この問題を解消することができた。動作確認の際に波長のスキャニングを連続的に実施させ,散乱スペクトルの光強度の変化を追跡したところ,光強度が水質レベルに合わせて変動することが確認された。さらに装置の安定性に影響を与えるベースラインの変動などは,この船上における8時間程度の連続稼動期間中にはほとんど観測されなかった。 以上の結果,自然水への適用にあたって,本装置は基本的なメカニズム面での問題点は見られず,実用化に向けた各種自然水への適用に十分耐えうるものと判断された。
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