研究概要 |
ヒトN-methylpurine DNA glycosylase(hMPG)は,DNA中に形成されたメチルプリン[3-メチルアデニン(3-mA),7-メチルグアニン(7-mG)],エテノアデニン(eA),ヒポキサンチン(Hx),さらに,酸化損傷の1つである8-オキソグアニン(8-oxoG)を除去することが報告されている.しかしながら,これら全ての基質を用いて,各基質に対するhMPG活性を直接比較した報告はなされていない.本研究では,hMPCの各基質に対する活性を,当研究グループがこれまでに開発してきたARP法および従来の酵素プローブ法を用いて比較検討した.酵素活性の測定は,3-mA,7-mG,Hx,eAあるいは8-oxoCを含むDNA,あるいは5'-^<32>P標織オリゴヌクレオチドとhMPGを反応後,DNA中に形成された脱塩基(Ap)部位を,これに特異的な化学プローブ(ARP)を用いて直接的に,あるいは,大腸菌のEndo IV処理により鎖切断に変換して定量した.メチルプリン,HxあるいはeAをそれぞれ含む高分子DNAを基質とし,AP部位をARP法で直接定量した場合,メチルプリン(3-mAおよび7-mGを含む)に対するhMPG活性は,他の基質に村する活性の約5倍であった.また,単一の損傷を含む4種類のオリゴヌクレオチドを用いてhMPGの各基質に村するK_mおよびk_<cat>を求めた.eA,Hx,7-mGに対するhMPGのK_mとk_<cat>の比は,それぞれ2.5,1.4,0.4x10^<-3>min^<-1>nM^<-1>であり,hMPGは,7-mGよりもeA,Hxに対して親和性が高いことが明らかになった.以上の結果より,hMPCは3-mA,eA,Hx,7-mGの順に高い活性を示すことが示唆された.
|