研究課題/領域番号 |
09558074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 和夫 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (60143393)
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研究分担者 |
浦瀬 太郎 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (60272366)
鈴木 穣 建設省土木研究所, 下水道部, 室長
長岡 裕 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (90207986)
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キーワード | 水循環 / 抗生物質 / 耐性菌 / 下水再利用 / 水資源 / 遺伝毒性物質 / 親水空間 |
研究概要 |
本年度は、多面的な水質評価指標の開発という点、および自然水系の改変の評価などを中心に研究を進めた。LCA,エネルギー消費解析などは、次年度以降に行う予定である。 新たな水質指標の開発という点では、抗生物質耐性菌と遺伝毒性物質にしぼって、現場調査を含めて検討を加えた。このうち、抗生物質耐性菌は、人間活動が抗生物質を大量に使用している点を考慮して、抗生物質の使用の結果、水環境中で耐性菌比率が上昇している可能性から検討を試みたものである。大腸菌群、一般細菌を対象に、カナマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、アンピシリン耐性を調査した。多摩川におけるフィールド調査、東京大学の下水配管網を利用したフィールド調査を行った結果、下水処理場からの放流水、および大学病院の排水で耐性菌比率が多かった。また、これらの排水では、多くの抗生物質に同時に耐性を持ついわゆる多剤耐性菌の存在比率も大きく、下水処理過程(活性汚泥)での耐性遺伝子の伝達の可能性が指摘された。また、多摩川の水質は、上流部では耐性菌比率が小さいのに対して、中流部、下流部では下水処理水その他の影響を受け耐性菌比率が上昇していることがわかった。さらに、トリディスク法による耐性試験を菌種をEscherichia coliにしぼった系で実験を行う手法の確立に成功した。 遺伝毒性物質については、ヒト細胞を用いたコメットアッセイを用いた評価手法を検討しており、コメットアッセイでの実試料からの毒性検出に成功している。 自然水系の改変の評価については、親水空間などについてのケーススタディーを蓄積している段階である。
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