研究課題/領域番号 |
09558078
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
松原 チヨ 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10057309)
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研究分担者 |
岩木 和夫 (株)荏原総合研究所, 技術開発研究所, 技術開発室長
齋藤 徹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40186945)
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キーワード | 温度感応性高分子 / 相転移 / 濃縮・分離 / 抽出媒体 / 疎水性 / 分配 |
研究概要 |
本研究では、産業排水、農業排水中の微量ではあるが高い毒性を持つ有機化合物、例えばPCB、ダイオキシン、ハロゲン化芳香族炭化水素などを、相転移する温度感応性高分子を抽出媒体として濃縮・分離し除去する環境水浄化法を開発することを意図した。 1. 温度感応性高分子の合成 温度感応性高分子の構造(例えば重合度、側鎖の付加など)が、高分子凝集相への疎水性有機化合物の取り込みに及ぼす影響を系統的に調べるためにモノマー(N-イソプロピルアクリルアミドなど)から種々の型の高分子を合成した。 2. 合成された高分子の性質が捕集効率に及ぼす影響の検討 1.で得られた温度感応性高分子を捕集媒体とし、芳香族および脂肪族の有機塩素化合物10種を分離対象化合物のモデルとして、高分子の親水性ー親油性バランスが捕集効率に及ぼす影響を明らかにし、分離対象物質別の温度感応性高分子選択のガイドラインを作製するためのデータを得た。微視的環境プローブによる測定結果から、高分子の溶媒特性は1-プロパノール程度の極性溶媒に相当し、水に混和しない抽出溶媒としては極めて高い極性を有しており、このような性質が化合物の捕集効果を高めていると推察された。 3. 捕集対象化合物の性質と捕集率の関連性 クロロベンゼンなどの芳香族および脂肪族の有機塩素化合物20種を捕集対象化合物のモデルとして、捕集対象化合物の構造と高分子凝集相への捕集率の関連を求め、算出された分配係数Dは、オクタノール係数と良い相関があることを明らかにした。これらは、疎水性化合物一般について、それぞれの化合物に適した浄化システムを設計するための基礎的な.データとなる。本法をモデル工業排水中からのクロロフェノール類の除去、井水中や農薬の濃縮除去に適用した。
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