研究概要 |
移動発生源から排出される窒素酸化物を還元無害化するシステムとして,貴金属触媒もより高活性で安価かつ環境負荷が小さい材料を用いる新しいシステムを検討し,その材料として鉄酸化物フェライトが有効であることを見出した。反応温度65℃において湿式酸化法により調製したマグネタイト,マンガン置換マグネタイト,ニッケル置換マグネタイトそして亜鉛置換マグネタイトは、250〜350℃において静止法と流通法のいずれの方法によっても一酸化窒素の酸素を固相に取り込み、窒素へ還元する事がわかった。今年度は、より高い反応性を示す材料を得るため、微粒子フェライト生成法を検討した。結果、従来65℃以上の加熱が必要であった湿式法が,pHや溶存酸素濃度を制御する事によって室温でも可能であり,かつ,微粒子が得られる事が見出された。この微粒子フェライトを用いて一酸化窒素との反応性を検討したところ、250℃以上では、65℃以上で得られたフェライトよりも高い高率で還元反応することがわかった。今回調製した微粒子フェライトではしかしながら、窒素酸化物還元反応は250℃以下では進行しないことがわかった。また今年度は、流通法における窒素酸化物還元速度とフェライトの鉄と置換する金属イオンとの関係も検討したが、静止法の場合とは異なり、置換金属イオンの種類と置換量は窒素酸化物還元速度にほとんど影響を及ぼさないことがわかった。今後は、酸化したフェライトの活性化反応との組み合わせにより、新しいシステムの実用化に向けた実験を勧めて行く。
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